交通事故で整骨院に医師の許可なしで通院できる?トラブル事例や注意点を解説
2023.4.11 重要おすすめ記事交通事故でむちうちなどのケガをした際に、整骨院で施術を受けることで症状が改善されるケースがあります。また、整形外科よりも通いやすい場所に整骨院があったり、病院よりも待ち時間の少ない整骨院に通いたいと考えていたりする人もいます。
しかし、交通事故後に医師の許可なしで整骨院に通ったことが、後々トラブルに発展するかもしれません。そこで今回は、交通事故の治療で整骨院を利用した際にありがちなトラブル事例や注意点などを解説します。
小林整骨院では、身体のさまざまなお悩み・ご質問等の相談も承っていますのでお気軽にご相談下さい。
目次
交通事故で整骨院に医師の許可なしで通うことは可能
交通事故によるケガを一日でも早く治したい、できるだけすぐに不快な症状から解放されたいと考える方は多いです。自宅近くに整骨院があったり、勤務時間の関係で整形外科への通院が容易でなかったりする場合など、「とりあえず整骨院でみてもらいたい」と考え、整骨院に通院を始める人もいるでしょう。
結論からいうと、交通事故によるケガの治療を整骨院で行いたい場合、医師の許可がなくても整骨院へ通院することは可能です。
しかし、損害賠償という観点で考えると、医師の許可を得てから整骨院を通院することをおすすめします。医師の許可を得ずに整骨院への通院を始めてしまった場合、いったん保険会社が整骨院への通院を認めて費用を負担しても、のちに裁判になった場合などに、施術費用が認められなくなるといった可能性があるからです。また、後ほどご紹介するようなトラブルに発展する可能性もあります。
整形外科に行けば医師の許可は必ずもらえる?
交通事故後、整形外科で医師に「整骨院に通いたい」旨を伝えれば必ず医師の許可がもらえるのかは、主治医の判断や状況によります。
例えば整形外科でリハビリが可能な場合は、外部の整骨院に通うのではなく整形外科でのリハビリを勧められるかもしれません。反対に、リハビリ体制が整っていない整形外科であれば、診断は整形外科で行いリハビリは整骨院で行うことが許可される場合もあります。
仮に医師が整骨院へ通うことを許可しなかった場合でも、治療をスムーズにするために整骨院に通う予定があることは伝えておきましょう。
交通事故で整骨院に通う際にありがちなトラブル事例
医師の許可なしで交通事故の治療のために整骨院に通った場合、次のようなトラブルが発生する可能性があります。
スムーズに治療をすすめるためにも、どのようなトラブルがあるのかを事前に把握しておきましょう。
保険会社が一括対応を打ち切った
交通事故によるケガの治療費を被害者が支払うのではなく、保険会社が病院や整骨院に対して直接治療費の支払いをしている状態を「一括対応」と呼びます。
この一括対応は法的義務があって保険会社が行っているわけではなく、サービスの一環として行っているものです。そのため、保険会社の判断次第では一括対応が打ち切られる可能性もあるのです。
たとえ交通事故のケガの治療のために整骨院に通院していたとしても、医師の許可なしで通院をしていた場合は、保険会社が一括対応を打ち切る場合があります。これは保険会社が整骨院での治療に対し、施術の必要性や有効性に疑問を抱いていることが考えられます。
また、症状が軽くなったことなどにより整骨院への通院頻度が減ると、保険会社は治療が終了したと判断して一括対応の打ち切りを打診してくることもあるでしょう。医師から許可を得ていた場合は、医師の判断を仰ぎ、治療がまだ必要である旨を保険会社に伝えることができるでしょう。
整骨院の治療費が一切支払われない
先にご紹介したとおり、交通事故によるケガの治療費は、被害者ではなく保険会社が病院や整骨院に対して直接支払う「一括対応」が行われるケースが一般的です。
しかし医師の許可なく整骨院に通院した場合、客観的な通院の必要性の判断が難しいため、保険会社が「整骨院への通院は必要ない」と判断し、整骨院の治療費が一切支払われない可能性があります。
治療費が支払われない場合、被害者は費用を自己負担するか、あるいは治療の効果を得られていたとしても経済的負担から治療を中断せざるを得なくなってしまうのです。
整骨院への通院が考慮されず慰謝料が減額される
医師の許可なしで整骨院へ通院していた場合、治療終了後、示談金の交渉になった段階で、保険会社が整骨院への通院を考慮することなく入通院慰謝料の計算を行う可能性があります。
一般的に、整骨院への通院は整形外科での通院と同様、慰謝料計算をするうえでの根拠となります。しかし医師の許可がなかった場合、整骨院への通院は必要のない通院だったと判断され慰謝料の対象外となり、結果的に慰謝料の減額へと繋がりかねません。
慰謝料に整骨院への通院費用が含まれなかった場合、たとえ交通事故によるケガの治療のための通院であったとしても、整骨院への通院費は被害者自身で支払うことになってしまいます。
交通事故で整骨院に通う際の注意点
交通事故によるケガの治療のために整骨院に通うこと自体には何ら問題はありません。「通いやすい」「過去に整骨院で症状が緩和された」など、メリットを感じるのであれば前向きに通院を検討すべきでしょう。
ただし、交通事故のケガの治療を目的として整骨院に通うのであれば、次の点に注意が必要です。
まずは整形外科などの病院を受診する
交通事故に遭った場合は、まずは整骨院ではなく整形外科などの病院を受診しましょう。
理由は大きく2つ挙げられます。1つは整形外科などの医師であれば、診察や検査をし、状況を確認して診断書を作成することができるからです。診断書があれば、ケガが交通事故に関係するものであるかを明確にすることができます。整骨院では診断はできないため、診断書の発行ができず事故によるケガという証明もできません。
もう1つの理由としては、交通事故のケガでは、外傷がなかったり、事故から時間が経過してから症状が出てきたりするケースも珍しくありません。事故直後に医師の診断を受けておくことで、目に見えない部分の身体の状態も確認することができるのです。
医師の許可をもらう
整骨院に通うことを希望あるいは予定している場合は、医師の許可をもらいましょう。医師の許可がない場合は、保険会社から整骨院の通院費用が認められなくなる可能性があります。
整骨院など医療機関以外の場所での治療は、「ケガの治療に必要であること」「治療として妥当な費用であること」という条件に該当しなければ、基本的に自己負担となります。治療費が自己負担となった場合、その治療期間に対する慰謝料や休業損害も支払われなくなる可能性があるため注意が必要です。
なお医師の許可がなかった場合、交通事故の被害者は整骨院での施術の必要性や有効性、合理性などを自分で証明することになり、それには大きな労力が求められます。治療や事故後の手続きをスムーズにするためにも医師の許可を得るようにしましょう。
保険会社に連絡をする
医師から整骨院への通院の許可を得ることができ、通院する整骨院が決定したら、保険会社にもその旨を連絡しましょう。
保険会社にあらかじめ連絡しておくことで、整骨院の通院費用も含めた一括対応が可能になります。保険会社が整骨院への通院を認めないケースはほとんどありません。
一方、整骨院へ通院する旨の連絡が事後報告になってしまうと、整骨院での通院費の支払いが認められなくなる可能性があります。「医師の許可を得たから」と自己判断せず、必ず保険会社にも一報を入れましょう。
整形外科と整骨院を併用する
医師から整骨院への通院の許可があり整骨院へ通い始めた場合でも、整骨院だけに通うのではなく整形外科への通院も継続しましょう。
これは治療の必要性を明らかにするためです。整骨院だけの通院では診断ができないため、症状の必要性が不明になってしまうためです。そうなると交通事故によるケガの症状がまだあったとしても、保険会社によっては一括対応を打ち切られる可能性があります。
整形外科では毎月保険会社に診断書を提出しています。しかし、通院のない月があった場合、その月の診断書が発行されず、治療終了、あるいは治癒と判断されてしまう恐れがあるのです。
整骨院をメインに通院をしている場合でも、整形外科には月1~2回程度の間隔で通院をしましょう。頻度については別途主治医の指示に従うことをおすすめします。
整体院やカイロプラクティックの治療費は請求できない
交通事故によるケガの治療のために、整骨院ではなく整体院やカイロプラクティックを通院した場合、たとえ施術内容が整骨院で受けるものと似ていたとしても、通院費用は自己負担となる可能性が高いでしょう。
整骨院は国家資格者である柔道整復師が施術を行うため、医師の許可があることで保険会社からの治療費の支払いも認められやすいですが、整体院やカイロプラクティックは資格がなくとも開業が可能です。つまり、国家資格を持っていない人による民間療法としての施術になるため、治療費の支払いは難しいのです。
整骨院は整体院やカイロプラクティックと混同されやすいですが、交通事故の賠償を適切に受けたいと考えるのであれば、国家資格に基づいた医療類似行為が受けられる整骨院の利用をおすすめします。
【まとめ】
整形外科での受診後に整骨院へ行こう
交通事故によるケガの治療を整骨院で行いたい場合でも、事故後はまず整形外科などの病院を受診することが大切です。交通事故の被害者としてより適切な賠償を受けるために、正しいステップで事故後の対応を行いましょう。 そしてケガの症状や治療方針も踏まえながら、医師に整骨院への通院を希望する旨を伝え、医師の許可を得てから整骨院での治療をスタートさせましょう。