膝の外側の出っ張りが痛む『ランナー膝』とは
2022.5.23 O脚・X脚 , スポーツ活法 , スポーツ障害 , 足・足の裏の痛み , 重要おすすめ記事膝に痛みがある場合、様々な膝の疾患が考えられます。そのなかでも特に長時間のランニングなどで膝の外側が痛む場合、”ランナー膝”と呼ばれる「腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)」が考えられます。
腸脛靭帯炎の発症原因は必ずしも走る事に限定されませんが、走る動作でよく生じるため、“ランナー膝”とも言われます。
今回はそんなランナー膝にとはどのようなものなのか、小林整骨院でできる施術法はどのようなものなのかを説明させていただきます。
小林整骨院では、身体のさまざまなお悩み・ご質問等の相談も承っていますのでお気軽にご相談下さい。
目次
腸脛靭帯とは
腸脛靭帯はおしりの筋肉(大殿筋と大腿筋膜張筋)から始まり、ふくらはぎの骨(脛骨:すねの骨)の前外側にある骨の角張った場所(ガーディ結節)に繋がっています。
これらの筋肉は股関節を外側に開く作用があり、腸脛靭帯はこの力をふくらはぎに伝える役割があります。走る動作では、足を地面に設置したときに上半身が接地していない足側へ傾かないように支える役割をします。
腸脛靭帯炎とは
腸脛靭帯はお尻の筋肉から太ももの外側を通り膝につく靭帯です。
膝を曲げる動作の中で、腸脛靭帯が太ももの外側にある大腿骨外側上顆(膝に近い出っ張り)を乗り越えていきます。曲げたり伸ばしたりをすることで腸脛靭帯が大腿骨外側上顆にこすれていき、摩耗して炎症を起こします。これが腸脛靭帯炎です。
特に長距離を走る人が膝の曲げ伸ばしの頻度が多くなりますし、片足での接地で体重がよりかかるようになり、腸脛靭帯炎になりやすくランナー膝と呼ばれます。
そのランナーの中でも発症しやすいのは、大腿骨外側の出っ張り(大腿骨外側上顆)が大きい、お尻の身体を支える筋力(大殿筋・中殿筋・小殿筋など)が弱い、内反膝(O脚ともいいます)、回内足(かかとが外側へ傾く状態)、腸脛靭帯の柔軟性が低い、走るフォームが悪いなどが考えられます。
また、日常生活で立つだけでも下肢の筋力を使います。そのため、階段の上り下りや屈伸運動が多い荷物を運ぶ作業で腸脛靭帯炎が発症することがあります。
腸脛靭帯炎の症状
腸脛靭帯炎は、走るのはもちろん自転車などの膝の屈伸を繰り返す運動により起こる使いすぎの痛みです。大腿骨の出っ張りと腸脛靭帯が何度もこすれることになり、膝の外側に炎症が起こります。
初期のうちは運動中や運動を終えたあとに痛みますが、安静にしていると痛みはなくなります。しかし、腸脛靭帯炎が悪化すると、歩行時や安静時にも膝の外側に痛みを感じるようになります。
腸脛靭帯炎の主な原因
過度なランニング
腸脛靭帯炎は特に長距離ランナーに多く見られるスポーツ障害で、練習量が増加したり練習環境が変わる、季節など時期などが要因で発症します。
純粋に走る距離が増加した場合や、疲労が溜まっている場合、準備運動が不十分な場合が考えられます。また環境的側面では、舗装されたアスファルトなどの硬い地面でのランニングの方が足にかかる負担が大きくなるため、発症リスクが大きくなります。
内反膝【O脚】
腸脛靭帯炎の発症要因の一つに内反膝(一般的な名称はO脚)が挙げられます。内反膝の人は、太ももからすねにかけて外側に曲がっているため、膝の外側を走行している腸脛靭帯が大腿骨外側上顆と擦れやすくなります。そのため、内反膝の人は腸脛靭帯炎を起こしやすいと言われています。
気を付けの姿勢で両膝の間に指が2本入れば内反膝と判断することができます。
ランニングフォームの不安定性
フォームによっても膝にかかる負担が変わってきます。O脚でなくても地面に接地した際に体重が外側にかかり、内反膝の形になると腸脛靭帯への負担は大きくなり、症状の発症に繋がります。また、足関節の固さが強く、回外位で地面に接地した際に内反膝の形になり、痛みとして出やすい姿勢になる場合も考えられます。
こうしたランニングフォームによっても症状が出ることが考えられます。
腸脛靭帯炎を判断するために
膝の痛みが出ている個所の上部分を押しながら、膝を曲げた状態から伸ばしてゆくと、痛みが出るのが特徴です。(グラスピングテスト)
また、レントゲンやMRIを使用することで、腸脛靭帯はレントゲンには映りませんが、大腿骨の形や、O脚や加齢による膝の変形をレントゲンで確認することができます。MRIは腸脛靭帯やその周囲の炎症を見ることができ、また腸脛靭帯炎に似た症状を起こす外側半月板損傷を見分けるためにも有用な検査になります。
腸脛靭帯炎の治療法
初期治療
腸脛靭帯炎を発症した際は、まずは運動を休止し、安静に努めます。また、患部の冷却や圧迫、足を高く上げるなどRICE処置を主に行って経過を観察していきます。
多くの場合安静にすることで、症状が一時的に緩和することがありますが、炎症が強い場合には歩行時にでも激痛が走ることがあるため、最悪の場合手術を勧められる場合もあります。
運動療法
腸脛靭帯炎はストレッチなどの運動療法が効果的です。ストレッチを行うことで腸脛靭帯の柔軟性を高めて大腿骨の出っ張りとこすれるときの摩擦抵抗を低下させ、炎症を改善・防ぐ効果が見込めます。
また、腸脛靭帯に関わる筋肉の柔軟性を高めることは再発の防止にも繋がります。ストレッチする筋肉としては主には大臀筋へのアプローチを行い、その周辺の筋肉もストレッチして行きます。
小林整骨院でできること
症状を改善するために
小林整骨院では主に骨格矯正や筋肉矯正で症状改善を目指していきます。主に筋肉の緊張で症状が出ることが多いのですが、そもそもの骨格のバランスが崩れていると負担が患部にかかりやすくなるため、骨格と筋肉を同時に施術していきます。特にランナー膝では、大臀筋と大腿筋膜張筋が腸脛靭帯に関わる筋肉になるため、原因筋として筋緊張緩和をさせていきます。その他にも周辺の筋肉が原因になる事も考えられるため、広い視野で状態の変化を確認し、症状緩和に努めていきます。
症状予防するために
予防のために骨格矯正・筋肉矯正は引き続き行っていきます。ランニングや過度のスポーツをしている場合、セルフケアでは補い切れない場合がありますので、メンテナンスとして骨格のバランスや筋肉の緊張緩和を継続して行っていきます。特に陸上競技の長距離種目では、競技場を何周も同じ方向で走ったり、舗装道路が少し傾斜があったりと、体の歪みが出やすい環境になります。
また、1回2回走るだけで痛める可能性は低いですが、多くの症状は筋肉の使い過ぎ、使い方の間違い、蓄積された筋疲労によることが考えられるため、疲労を回復し溜め込まないようにする日頃のケアが重要になってきます。
また筋肉には動きに対しての反対の作用がある筋肉(拮抗筋)があり、多くの場合緊張が強い筋肉の拮抗筋が使えていない場合があります。小林整骨院では使えていない筋肉を使えるようにトレーニングしていき、使いすぎる筋肉への負担を軽減させていきます。
まとめ
腸脛靭帯炎とは膝の曲げ伸ばしが続くことで骨と靭帯がこすれ合い腸脛靭帯に炎症が起こる疾患になります。特にランニングをしている人がよく起こり『ランナー膝』と言われたりします。
症状としては膝の外側に痛みを感じ、ランニングをしている時や重症の場合は歩くだけでも痛みを感じます。
治療としてはまずは安静が必要で、ストレッチやアイシングも効果的です。
小林整骨院でできることとしては、まずは原因筋の緊張緩和のために骨格矯正・筋肉矯正が効果的です。その後痛みが緩和した際には予防として骨格矯正・筋肉矯正を行うことと、使えていない筋肉をトレーニングしていき負担を軽減させていきます。