腱鞘炎の治し方は?原因と対処法
2022.3.15 スポーツ障害 , 手・腕の痛み , 重要おすすめ記事皆さんは腱鞘炎(けんしょうえん)という言葉をご存じでしょうか?
すでに一度その症状を発症した方もいらっしゃれば、初めて聞いた方もいらっしゃると思います。
- 「手首や指を動かすと痛みが強く走る」
- 「物を持つときに、痛みで落としてしまったことがある」
- 「指を動かす時に引っかかって動かしにくい、または痛みがある」
こういった症状のある方は、腱鞘炎になっている可能性があります。整骨院の現場で働いていると必ず現れる悩み、腱鞘炎。一体どんなものなのか?現役治療家が詳しく説明させて頂きます。
興味のある方はぜひ最後まで読んでください。
小林整骨院では、身体のさまざまなお悩み・ご質問等の相談も承っていますのでお気軽にご相談下さい。
目次
腱鞘炎(けんしょうえん)とは?
そもそもまず「腱鞘炎」とは何か?どのようなもののことを指すのかを解説します。腱鞘炎を解説するためにはまず、筋肉や腱についての説明をしなければなりません。
筋肉は基本的に骨と骨の間にくっついています。筋肉が骨についてくる箇所は筋肉の繊維が細く、硬くなってきています。その部分のことを腱と言います。代表的な体の腱でいうと、アキレス腱が有名だと思います。
その腱をスムーズに動かすために腕や手首の腱にあるのが、腱鞘と呼ばれるトンネルのような組織です。腱鞘があることで、そのトンネルの中に滑液と呼ばれる潤滑油のようなものが満たされ、筋肉の滑らかな動きの助けになっています。
腱鞘炎とは、その腱鞘や腱鞘の中を通る腱に炎症を起こしてしまい、痛みになる状態のことを指します。
腱鞘炎の主な原因は?
腱鞘炎の主な原因はその部位を使い過ぎてしまう状態、「オーバーユース」が続くと痛めやすくなります。なぜ動かし過ぎると痛みが出てしまうのか?
筋肉や腱の動きを滑らかにするためにある腱鞘ですが、動かし過ぎることにより腱鞘の中の腱が擦れて炎症が起き、腱鞘炎になっていくのです。痛めやすい動きの例としては以下が挙げられます。
- 仕事などで手や指先を使うことが多くある。
- 長時間スマホを使ったり、テレビゲームをすることが多い。
- 野球やテニスなどの投球、またはグリップを握る動作のあるスポーツをよくする。
一つずつ、解説していきます。
仕事などで手や指先を使うことが多くある
仕事で痛みが出やすい原因の1つは、パソコンを長時間使うことです。特にキーボードやマウスの操作が多い人はタイピングの時に手首を固定して指先を動かすため、負担がかかり痛みが出やすくなります。
また、料理人の方でしたら包丁で食材を切ったり、鍋を振ったりする動作で腕、手首、肘などに負担がかかりますし、美容師の方もハサミを長時間使うことがあるので腱鞘炎になるリスクは高い職業といえるでしょう。
長時間スマホを使ったり、テレビゲームをすることが多い
生活をしていく中で欠かせないアイテムはスマホだと思います。連絡を取る際にはフリック操作で文字を打ち込むと思いますが、その時の親指の動きが手首に負担をかけやすくなるので、痛みに繋がる方も非常に増えています。
また、テレビゲームのし過ぎも手首や指にかける負担が多くなります。
コントローラーのスティック操作も親指をよく使うことが多く、またキーボードを使ってするゲームに至ってはデスクワークと同じく、手指に負担をかける動作が増えるので腱鞘炎になりやすいと言えるでしょう。
野球やテニスなどの投球、またはグリップを握る動作のあるスポーツをよくする。
スポーツの競技によっては腱鞘炎を起こしやすいものもあります。
投球動作で痛みの出やすいスポーツ
- 野球、ソフトボール
- ダーツ
- ハンドボール
- ボーリングなど
グリップ(ものを握る)動作があるスポーツ
- 野球、ソフトボール
- テニス
- ゴルフ
- 体操(鉄棒など)など
どちらの動作も指先、手首に負担のかかる動きになってきます。
投球動作では特に手首を返すスナップ動作が関わってきますし、グリップ動作ではバットやクラブを握り続けるために腕などに力が入り続けるため、筋肉が緊張して痛みに繋がりやすくなります。
また、競技中は絶えずその動作を続けることで連続して負担がかかることと、痛みが出たとしても多少我慢して使い続ける方が多いため、炎症が強くなる傾向が強くみられます。
上記の動作以外でも、主婦の方は家事をして痛みが出たり、日常生活において痛めやすい部位になっていますので、症状が出てきた場合は適切な処置を早期にしていく必要があります。
腱鞘炎を放っておくとどうなるのか?
では、そんな症状を放っておくとどうなるのか?
腱鞘炎は特に手首と指先に症状が現れるのですが、代表的な二つの症状を例に説明します。
ド・ケルバン病
代表的な腱鞘炎にド・ケルバン病が挙げられます。手首の親指側にある「長母指外転筋腱」と「短母指伸筋腱」を覆っている腱鞘、または腱そのものが炎症を起こしてしまう症状です。
ド・ケルバン病の症状は、手首を反らしたり曲げたり、物を持った時に手首の親指側に痛みを生じる、症状が悪化すると手指に力が入らないなどが主に挙げられます。
ド・ケルバン病は手首をよく使う人がかかりやすい病気です。特に育児中の方は、手首に負担がかかる動作が多く注意が必要です。例えば、赤ちゃんの抱っこや入浴などの際に、親指を開き赤ちゃんの頭を支える動作は手首への負担が大きいです。
また、ド・ケルバン病は男性よりも女性がなりやすいです。
その理由は、以下の2点です。
- 女性は出産や更年期によって女性ホルモンのバランスが崩れやすい。
- 男性と比べて女性の方が家事を行うことが多く、手首に負担がかかりやすい
症状が出だして初期の段階で適切な処置を施すことが出来れば理想ではありますが、万が一症状が悪化した場合は、手首の親指側の炎症がきつくなり、大きく腫れあがってしまう可能性があります。
腫れるだけでなく、ひどくなれば手首に力が入らずに動かすことが困難になることもありますし、最悪の場合、手術になるケースもあります。
弾発指(ばね指)
指を曲げる動作ができるのは、指の腹側にある「屈筋腱」は収縮運動のおかげです。屈筋腱は指の付け根から指先まで伸びていっており、その屈筋腱は腱鞘の中を通ることによって滑らかな動きを可能にしています。
弾発指は使い過ぎや動かし過ぎによって屈筋腱に炎症を起こしてしまい、腱が肥大化することで症状が出てきます。肥大化した腱が狭い腱鞘の間を通るときに、トンネルの部分で引っかかってしまいます。
引っかかった部分が通る際に、指の動きが弾かれて跳ねるようになってしまう状態が弾発指(ばね指)です。
症状の初期は動きが
- 「少しカクカクする」
- 「引っかかる程度」
で済むのですが、症状が進むと手のひらをグーにして開いたときに弾発指になっている指だけ伸ばせずに曲がったままになり、反対の手でその指を掴んで伸ばさないと伸びないくらいに動きが悪化するケースもあります。
同時に痛みを強く伴うこともあるため日常生活に支障をきたす上に、最悪の場合だと手術で腱や腱鞘を切開しないといけなくなる可能性もあるため、早めの対処と的確な症状へのアプローチが必要となります。
腱鞘炎を治すために必要なこと
では、そんな腱鞘炎をしっかり治すためには何が必要になるでしょうか?
まずは患部の炎症を抑えることが大事です。次に、硬くなっている筋肉や腱の緊張を和らげて、動きや可動域を正常の状態に戻していくことが早期回復のカギになってきます。
患部の状態によって処置が変わってきます。
- 急性期(炎症が強い。腫れがひどく、動かすと痛みやひっかかりが強い)
- 慢性期(痛みは落ち着いてきているが、動かすと違和感や引っかかりがある)
大きく分けるとこの二つになります。一つずつ説明していきます。
急性期(炎症が強い。腫れがひどく、動かすと痛みやひっかかりが強い)
この状態の場合は、炎症が強く出ていて動かせば動かすほど症状が悪化してしまう可能性が高いです。処置としてはアイシングをすることと、なるべく患部を動かさずに安静にすることをおススメします。
日常生活を送っていくうえで、手首や指先を動かさないようにすることは非常に難しいと思います。患部を使ってしまうことは仕方ないことですが、使った後は炎症を抑えるためにアイシングが効果的です。
仕事などでどうしても使わないといけない場合では、動きを制限、補助する意味合いでサポーター着用やテーピングを行い、負担をなるべく軽減することが大事になってきます。
慢性期(痛みは落ち着いてきているが、動かすと違和感や引っかかりがある)
炎症が強い状態から症状が軽くなってくると、痛みも落ち着いてきて日常生活も幾分かは送りやすくなってきます。しかし、状態は楽になってきているものの、動かす時に違和感やひっかかりが残る人が多くいます。
この場合は筋肉の緊張が強く残っていて、動かす際に筋肉や腱がスムーズに動かせずになっていることからこの症状を感じることが多くあります。この状態の処置としては、炎症期とは逆に患部やその周囲の筋肉、腱を温めてあげると良いでしょう。
硬くなっている筋繊維は温めてあげると緊張が解けやすくなるだけではなく、血液の循環も良くなり回復力も上がるため、違和感や引っかかりが取れやすくなります。
また、もっと症状が良くなって痛みが落ち着いた場合は、指先や手首、腕周りの筋肉をうまく使えるようにトレーニングを行い、筋力アップをしていくのも大事になってきます。
処置を簡単にまとめると
- アイシング
- 安静
- 筋肉の緊張を緩める
- 予防のために運動を行う
腱鞘炎の痛みで悩まれている方はぜひ参考にしてみてください!
まとめ
いかがでしたでしょうか?
腱鞘炎のメカニズムや原因、対処方法をお伝えさせて頂きました。お伝えした内容の中には、ご自身で出来る対処方法も載せているので、是非とも行って頂きたいと思います。
今回のコラムを読んで頂いた方の中には、こんな悩みをお持ちの方もいらっしゃるのではないのでしょうか?
- 「ちゃんと対処方法通りに行えているのか」
- 「痛みが強すぎて処置をしても良くならない」
- 「どこの筋肉を使えばいいかわからない」
そんな悩みでお困りの方は是非一度、小林整骨院グループにご相談ください。
小林整骨院グループでは国家資格を持った施術家たちが
- 一人一人の症状に合わせた対処方法
- 筋肉を緩めるための施術
- 手首や指先の関節を正しい位置に戻す矯正治療
- 患部の筋肉をちゃんと使えるようになる関節へのトレーニング
などを患者様に合わせて行い、症状の改善に努めます。お近くの店舗までお気軽にご連絡ください。
このコラムを読んでくれたことで、腱鞘炎の痛みに悩まされている方々の手助けになれれば幸いです。